インタビュー:ビクトリノックスな人々 フラワーデザイナー 田村恵子
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花も人と同じように息をしている。花の命をつなぐのがナイフの仕事。
軽すぎず重すぎず、
絶妙のバランス

ナイフを入れる角度がポイント
かけがえのない気持ち、無償の愛。
 私は、物心ついた頃から、花に囲まれて育ちました。花がおもちゃで、ときどき花を食べたりする「花あそび」が大好きな女の子でした。特に意を決してフラワーデザイナーになろうと思ったことはなく、知らず知らずに気づいたら花に携わる仕事をしていました。やはり天職なのでしょうか。
 花の魅力ってなんでしょうね。通りを歩いていても、花があるだけで、何気なく人は立ち止まります。そういう力、目に見えないオーラが花にはあると思います。その見えない力に人は引かれるのでしょうか。人に何かをプレゼントするとき、指輪や宝石は値段で推し量れるけれど、花ならお返しなんて考えない。代償がない。それが花のいいところで、本当の気持ちをこめられる理由です。かけがえのない気持ち。無償の愛。それが花の魅力ではないでしょうか。
息を吹きかけるという儀式。
 いま、人気のある話題の花は「虹バラ」(レインボーローズ)です。一般的に赤の花は愛や情熱を、黄色の花は元気を表しますが、この虹バラにはいろいろな色が含まれているから重宝します。テレビに紹介されて以来、人気急上昇(この虹バラはオランダから空輸しています)。
 フラワーアレンジメントの場合、日本の生け花に比べ、ルールや考え方はかなり自由です。花が持つ色、形、香りを大切にしながら、さまざまな思いを伝えるアートだと私は考えています。創作の世界を支えているのは、独特の宇宙観で、花も私たち人間と同じ空気を呼吸している共同体という考えが基本にあります。だから、私は、花を同じ生き物として扱っています。扱い方しだいで活かしもすれば殺しもする。私のやり方は、花にささやきかけるように息を吹きかけること。切って吸水性スポンジに刺すとき、話しかけるように、ふーと息を吹きかける。すると、それに応えるかのように花が元気になるんです。私が大切にしていることは、花も人と同じように息をしているということ。逆にしてはならないのは、モノとして扱うこと。つぼみも葉も枝も茎も一つ一つを大切にし、すべて生かしてあげるという心がけが大事です。

いま話題の「虹バラ」(レインボーローズ)


銀座・詩仙堂


カラフルなフローリストナイフ
(新製品 )
私とナイフとの関わりは、花の命を枯らさないこと。
 土壌から刈り取られた花は、命がいったん遮断されますが、ナイフを入れることによって改めて命をつなぐことができる。それが私とナイフとの関わりです。そのとき、守らないといけない適切な角度があります。正しく入れると、花は勢いよく水を吸って、いきいきとした表情を見せてくれます。ですから、私はハサミは使いません。ハサミだと切り口がグチュッとなって、どうしても水を吸い上げる導管を傷めがちになりますよね。ナイフは軽すぎても重すぎてもいけない。あまり手に力を入れないので、手になじみのよいものがいいですね。
“マイナイフ”はビクトリノックス。
 愛用しているのは、ビクトリノックスの赤のフローリスト・ナイフ。軽すぎず重すぎず、絶妙のバランス。ストレートとカーブがありますが、私はストレート派。手前にグイッと引くとき、怪我がないのはカーブのついたブレードかもしれません。でも、私は最初からストレートで習い始めたので、こちらが使いやすい。切れ味が良く、あまり力を入れなくても思い通りの仕事ができるので、マイナイフとして長年使っています。
 うちの店は私を筆頭に、店長以下スタッフ全員がビクトリノックスの大ファン。柄が黒だったり赤だったり、好みはそれぞれ。いいと思って自分で買ったものがみんなビクトリノックスだなんて、阿吽の呼吸でしょうか。
永遠の色香をテーマに。
 いま、季節を問わず、どんな花も買えるけれど、色と香りはやはり旬のものは違う自然界のものは、季節で生きています。そのときにいちばん映えるように、息を吹きかけ、話しかけるのです。私の作品は、色香があるといわれますね。特別に意識はしてないですけれど、花は女性ですから、色香は永遠のテーマでしょうか。これからも花と伴走しながら生きていくことをライフワークにしたいと思っています。

お店のスタッフ全員が
マイ・ビクトリノックスを愛用

  
『贈り花』(角川書店)、
『花観-HANAKAN-』(美研インターナショナル)

田村恵子(たむら・けいこ)
フラワーデザイナー。岩国市生まれ。幼少の頃から花に親しみ、華道を学ぶかたわらいつしかフラワーアレンジメントの世界へ。イギリス、フランス、ドイツなどでフラワーデザインを研鑽後、1998年岩国に立ち上げた花の店『Kei,mom(ケイ,マム)』は、広島に2店舗、東京に1店舗と発展。ウェディング会場やレストラン、パーティ会場の花のプロデュースで活躍する一方、六本木、広尾、白金高輪など各フラワースクールで教授。またNHKおしゃれ工房などテレビ番組への出演も数多い。主な著書に『贈り花』(角川書店)、『花観−HANAKAN−』(美研インターナショナル)など。
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