インタビュー:ビクトリノックスな人々 株式会社セルシス マーケティング本部長 笹渕正直
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週末のパーティで活躍したワインオープナー。手にしているだけで豊かな気分に。

アップルのネーム入り
ビクトリノックス

アメリカ滞在時代、妻と
仕上げのよさに本物の風格。
 大学生の頃、花屋さんでアルバイトをしていました。この花屋さんは木製グリップのフローリストナイフを大切に使っていましたが、これが私の出会った最初のビクトリノックスです。当時は名前すら知りませんでしたが、後からあれが有名なビクトリノックスだったことを知り、納得しました。意識してビクトリノックスを購入したのは23歳の頃、ハンドル部分がステンレス製のクラシックでした。これは、今でも手元に残っています。以来、自分で買ったり、親しい人にいただいたりして、いつのまにか十数本のビクトリノックスが集まりました。例えば、ちょっと珍しいビクトリノックスを東京・御徒町のショップで見つけて、思わず買ってしまったこともあります。中身はミニチャンプというタイプなのですが、グリップは鹿の角でできています。そして、ビクトリノックスの魅力は、なんといっても仕上げが良いこと。加工がしっかりしていて、長く使っていてもガタがこないということです。そこが他の物との決定的な違いだと思います。言い換えるならば、本物を感じるというのでしょうか。シャープさ、堂々とした風格があり、小型のものでもカチッとした存在感があります。ちょっと豊かな気分にさせられますね。そして「エルメス」や「ティファニー」などのロゴが付いたものもありますが、それら高級ブランドに引けをとらない理由はこのあたりにあると思います。
ビクトリノックスをきっかけに会話が弾む。
 私は、ずっとコンピュータソフトウェアのマーケティングの仕事に携わってきました。あるとき、アップルコンピュータのカンパニーストアで見つけたナイフがビクトリノックスでした。10年以上前ですから、主流の機種はMacintosh Uの時代になるでしょうか。そのポケットナイフはキャンパーというタイプです。アップルとビクトリノックス。こだわりという点では共通の空気があると思いませんか。私も、さっそく購入することにしました。
 このナイフ、いちばんよく使ったのがワインオープナーでした。ちょっとおもしろいエピソードがあります。1991年から1年足らず、アメリカ西海岸のカリフォルニア州パロアルトという町に滞在する機会がありました。パロアルトはスタンフォード大学のそばの町で、シリコンバレーと呼ばれるエリアの一部をなしています。アップル関係の人々との交流がありましたので、週末になるとパーティを開いて招いたり、パーティに招かれたりということが増えました。そこで、ワインの栓を抜く機会がある毎に「私は何でもアップルを使っています。こんな具合にね」と言いながら、このアップルのロゴ入りビクトリノックスをポケットから取り出してはコルクを抜きました。これはウケました。こうしたジョークをきっかけに親しくなって会話が弾むのです。ビクトリノックスは、私の海外生活にとって欠かせないツールになりました。
いつのまにかコレクターに

葉巻の吸口をつくる

ONからOFFへの切り替えに
ビクトリノックス
趣味の葉巻との出会い。
 アメリカに住んでいたときに出会ったのが葉巻でした。パロアルトの下町にタバコ、チョコ、ポルノ雑誌とおよそ「心身」に良くないものを販売している「マックス」というタバコ屋がありました。そこに見かけヘルスエンジェルスの生き残りのような店主がいて、ある日、この店のショーケースにチョコレートのようなものを見つけたのです。それが葉巻との出会いでした。それは、私が愛煙する「マイルドセブンライト」1箱より安い値段で売られていました。1992年は、コロンブスのアメリカ大陸発見500周年にあたり、「1492」という映画が公開され、Cigar Aficionadoに代表される葉巻の専門雑誌が次々に創刊されたり、葉巻で有名なキューバでは記念の限定葉巻が発売されたりしました。そして、Cigar Aficionadoのオーナーが、ケネディ大統領の使っていたヒュミドール(葉巻の保管ケース)をオークションで数千万円もの値段で落札したということが全米の注目を集め、葉巻ブームが始まりました。そんなこともあって、いつのまにか私も葉巻に手を伸ばすようになりました。自宅で気の置けない友人たちとビリヤードやダーツで熱くなり、葉巻の一服でクールダウン、これは何物に替えがたい至福の時間でした。その後も、タバコがどんな国で育てられ、どんなふうに手をかけられて葉巻になっていくのか、自分自身で調べたり、仲間に聞いたりして知るうちに、葉巻の世界にのめり込み、終には葉巻の輸入免許までをも取得することになりました。

ビクトリノックスで吸口をつくる愛煙家も。
 葉巻の先をカットするとき、刃先の鋭いナイフが必要になります。そのための専用ナイフをビクトリノックスが作っているくらいです。そして、切れ味が良くないと、吸口がボロボロして口当たりがすっきりしません。私のドイツ在住の友人より、彼の義理の父上が普通のナイフで葉巻をカットしていたということから彼もナイフを使うようになったという話を聞きました。そして、私もビクトリノックスを使って吸口をつくる楽しみを覚えました。毎回スパッとした切れ味を見せてくれるので素晴らしいと思います。
 国内で手に入れられる葉巻の中にも1本数千円という大変に高価なものがあります。そして、私の場合には長い葉巻であってもせいぜい1時間前後で煙と灰に変えてしまいます。これは、ぜいたくを通り越して、むだ遣いと言われるかもしれません。それもあって、せかせか吸うとちっともおいしくありません。ゆっくり時間をかけて楽しむのです。私にとって、葉巻は自分を落ち着かせるきっかけというか、精神安定剤のようなものです。ONからOFFへのきっかけの一つですね。
充実した休日が、仕事への英気を養う。
 もう一つ、ビクトリノックスつながりで言えば、この夏に四級小型船舶操縦士の免許を取ったために、先頃、長年に渡って憧れていたスタイナーのコンパス付き双眼鏡(ビクトリノックスが販売)を入手する良い口実を得ました。実は、四級小型船舶操縦士の免許では沿岸から10kmほどしか離れられませんから、双眼鏡は絶対に必要な備品ではありません。しかし、住まいが鎌倉にあり、週末に双眼鏡を携えて浜辺に出るのが楽しみです。そして、双眼鏡のユーザー登録を済ませると、記念品としてビクトリノックスを送ってきました。これがいちばん最新のビクトリノックスで、コレクションがまた一つ増えました。鎌倉、海、船、コンパス、双眼鏡という具合に、私にとっては欠かせない大切なもの、関連して引きつけられる何かがあります。そして、そういう意味では、ビクトリノックスも同じかもしれません。実用的な魅力もさることながら、手にしているだけで、豊かな気分にさせてくれる、そういう道具なのです。
 つい最近、転職して新しい会社に移り、「RETAS!PRO」や「ComicStudio」に代表されるアニメやマンガの制作ソフトのマーケティングに携わるようになりました。この分野は周囲からの期待も大きく、その分緊張も強いられる毎日ですが、せめて休日はビクトリノックスやスタイナーをいじりながら、次の仕事への英気を養っています。
スタイナーのコンパス付き
双眼鏡を手に

笹渕正直(ささぶち・まさなお)
1957年、福岡県生まれ。システムソフト、アスキー、マイクロソフト、エクス・ツールスなどをへて、2002年11月より株式会社セルシスに勤務。趣味は葉巻のほか、愛犬たちとの散歩、ミステリーと歴史小説を愛読、ゴルフ、オートバイ、ダーツ、スキューバ・ダイビングなど。特に四級小型船舶操縦士の免許を取得してからは、やたら天気のことが気になるようになりました。
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