インタビュー:ビクトリノックスな人々 スタイリスト ふるいりえこ
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スタイリストの必需品

スタジオで緊張の合間に
必要なとき、困っているとき、サッと差し出すスマートさがたまらない。
ダブルネームのビクトリノックスがファッション界を席捲。
 私が初めてビクトリノックスに出会ったのは、短大を卒業してスタイリストのアシスタントをしていたときのことです。二十歳すぎのことですね。師事していたスタイリストの先生がビクトリノックスをいつも携帯していたのです。どこに行くのにも肌身はなさずといった感じでした。十年ほど前でしょうか、ファッション界でダブルネームのビクトリノックスが一世を風靡しました。なかでもティファニーとのダブルネームは、人気がありましたね。同じダブルネームでも、どのブランドを持つかが、ステータスになったりして。特にファッションに敏感なショップのスタッフは、みんな一つは持っているんじゃないかな、と思えるほどでした。私が気に入っていつも使っているのも、あるブランドのノベルティでいただいたダブルネームのものです。それは、いくつか持っているビクトリノックスの中で気に入っているものの一つです。
ノッているタイミングを外さない、スマートさ。
 広告の撮影は、限られた時間と予算の中で、スポンサー、アートディレクター、フォトグラファー、それぞれの意向を踏まえながら、モデルさんのいちばん魅力的なところを引き出さなければいけないんです。たくさんのスタッフが、いいものを創ろうと神経を集中している訳ですから、もちろん失敗は許されません。出来上がりは1枚のビジュアルでしかないかもしれないですけど、その1枚のために裏方の一員として頑張っているのがスタイリストという仕事です。洋服のコーディネイトだけだと思われがちですが、実際はコスチュームを造り込んだり、細かい作業もやるんですよ。だから、大きなポーチを腰につけて、道具箱も用意して、どんなことが起きてもサッと対応できるように万全を期しているわけです。とくにモデルさんの表情がいちばん輝いているときや、フォトグラファーがノッているとき、そのテンションをくずすことなく、絶妙なタイミングで自分のすべき仕事をサッとこなす。それがスマートに出来るかも、現場ではとても重要ですね。
欠けた爪先のお手入れにぴったり。
 ポーチの中にいつも入れておくビクトリノックスは、撮影のとき大活躍です。糸のほつれを切り取ったり、テープをはがしたり…。そんな定番の使い方以外に、予想のつかないことが起こったりしても、ビクトリノックスを1本持っていればたいていのことはクリアできちゃうんです。これまでの経験で私がとっても便利だと感じたのは、撮影中や作業中に爪が欠けたときのことです。ニットやデリケートな素材に爪の先があたると、大事な商品にもダメージを与えかねないし、モデルさんを傷つけたりしたら大変ですからね…。そんなとき、ビクトリノックスにヤスリがついていることを思い出して事なきを得る。それで助かったことが何度かありますよ。いまでは、いつそういうアクシデントがあってもいいように、仕事以外の時でもいつもビクトリノックスを持ち歩いています。
私のかわいいアシスタント
釣針で幸運を引っかけるという
ハワイアンアクセサリー
プロフェッショナルの証として。
 雑誌のグラビア撮影で海外へ出かけることも多いんです。特に「9.11」以降、荷物のチェックが厳しくなったので、手荷物として機内に持ち込むことはできなくなりました。ビクトリノックスは必ず預けるスーツケースに入れるようにしています。もしうっかり入れたままで、チェックされてしまったら、これは私にとって、とても大切な宝物なんだと係員を説得して機内預かりにしてもらうしかありませんね。現地では早朝から出発して、1日中、浜辺やプールなどの戸外にいることが多いのですが、撮影中にアクセサリーのパーツがこわれたり、予期せぬアクシデントだって起こったりするんですよ。ロケ地は英語圏だけではないので、言葉が通じなかったりして、必要なものがあったとしても伝えるのがとても大変だったりするし…。そういうときに、小さいボディにいろんなツールを兼ね備えたビクトリノックスが役に立ったりする事は意外に多いんです。どんなアクシデントがあったとしても、ビクトリノックスを使いこなして瞬時に対応できるということは、プロフェッショナルであることの証ですね。
えもいわれぬ充実感を味わうために…
 プールで水着の撮影をしていたときのことなんですけど、モデルさんの様子がおかしいと思ったら、同じ姿勢を保っていたために脚が吊ってしまったらしくて…。助けなきゃって思った瞬間、咄嗟にプールの中に飛び込んでいたんです。彼女は事なきを得ましたが、私の洋服はびしょ濡れのままで撮影は無事終了。そのときポケットの中に入っていたビクトリノックスは錆びることもなく、今も大事に使っています。
  一番この仕事をやっててよかったなと思うときは、自分が携わった仕事のポスターを街中でふと見かけたり、書店やコンビニで雑誌の表紙になってたりと、実際に形になったものを見つけたときですね。どんなに大変だった仕事でも、いいものを創りたいという気持ちを大切に、妥協することなくやってよかった…という何ともいえない達成感や充実感があるんです。そういう瞬間を味わいたくて、この仕事を続けているのかもしれません。
陶製のアンティーク

ふるいりえこ
熊本県出身、武蔵野美術大学短大グラフィックデザイン科卒業。もともと洋服作りに興味があり、ファッション界へ転身、スタイリストになることを決意。スタイリストのアシスタント修行の後、23歳で独立しフリーに。広告をはじめ、雑誌グラビアなどのスタイリストとして活躍するほか、ミュージシャンやヘアーショウなどのステージ衣装も手がける。
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